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『完本 若き日の読書』ベストセレクション

池田先生の新刊『完本 若き日の読書』の中でご紹介されている名作を、当オンラインショップでレビュー、購入できるキャンペーンを、おかげさまで約半年つづけることができました。

今回は、これまで紹介した15作品の中で、最も好評だった3作品を、改めてレビューします!

1, ベストセレクション①『代表的日本人』

『代表的日本人』は日清戦争の頃、内村鑑三が、列強欧米に対して日本人も歴史があり、教養があり、すでに日本は先進国なのだと示すために英語で書かれたもの。新渡戸稲造『武士道』、岡倉天心『茶の本』とともに明治期に日本人が英語で日本文化を紹介した3大名著と言われている。
内村鑑三が挙げた、西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、藤江藤樹、日蓮上人の5名に共通するのは、他者を思いやること、私利私欲がないこと、いわゆる当時の武士道精神を持った人物と思われる。

西郷隆盛は、言わずと知れた明治維新のリーダー的存在で、江戸城無血開城も有名。
京セラ創業者の稲盛和夫氏が、西郷が好んで使った「敬天愛人」を社是として掲げている。
上杉鷹山は、米沢藩の建て直しに尽力した。単なるコストカットだけではなく、実力本位での組織改正、人心の掌握に加えて、次代の産業振興やインフラ整備も行った。
「成せばなる 成さねばならぬ 何事も 成らぬは人の 成さぬ成けり」という言葉の通り、事物をなすにあたり、創意工夫をもって実現する力を持っていた。
アメリカのJ・Fケネディ元大統領が上杉をリスペクトしていたことも有名。
二宮尊徳は、農村改革に力を発揮したが、細かいところから確実に改革を行った。倹約を規とし、率先垂範してことにあたった。「道徳を忘れた経済は、 罪悪である。経済を忘れた道徳は、 寝言である」や「誠実にして、はじめて禍を福に変えることができる。術策は役に立たない」という、誠実さを何より優先して統制を取っていたことがうかがえる。
中江藤樹は、近江の聖人と呼ばれ、「積善」を旨として敬意を集め、彼を中心としたコミュニティを築いた。「人生の目的は利得ではない。正直である、正義である」という、人生において何を優先するべきなのかを考えさせる。
そして、最後に日蓮大聖人を挙げたのは何故か?

内村鑑三といえば、たしかに明治のキリスト者である。その当人が、日本民族にあっての理想的宗教家として「日蓮上人」の名を挙げているのは、何故であろうか。 ―完本若き日の読書P.84より

内村は、西欧のキリスト教会勢力を激しく批判し、むしろ日本の誇るべき宗教改革者として、日蓮大聖人に学ぶところが多くあるという。 ―完本若き日の読書P.87より

彼は熱烈な愛国者でもあったが、同時に「自由と独立」のために闘う外国人をも「同胞」あるいは「兄弟」と呼んで、決して排外的なナショナリストにはならなかった。
その意味で彼の日蓮観は、国家権力からの自由と独立の側面に意義を見いだそうとする。伊豆と佐渡への両度の流罪、そして「竜の口の法難」についても「日本宗教史上、最も有名な出来事」として、とくに詳細なる描写を加えていく。さらには、西洋における宗教改革者マルティン・ルターと対照させ、権力の迫害にも屈しない実践行を、高く評価しているのだ。 ―完本若き日の読書P.88より

一説には、西洋におけるルターの宗教改革が、すでに日本でも日蓮大聖人によって行われていたことを紹介し、日本が欧米列強にも引けを取らないことを世界に知らしめるためと言われている。興味のある方は佐藤優著「宗教改革者 日蓮とルター」角川新書(2020年刊)を一読することをおススメします。

【書籍情報】

著者   | 内村鑑三(訳:鈴木範久)
出版社  | 岩波書店
版型   | 文庫
ページ数 | 208ページ

2, ベストセレクション②『モンテ・クリスト伯』

革命と王政復古に揺れる十九世紀のフランスが舞台。皇帝ナポレオンが失脚し、エルバ島へ追放されていた頃の物語。マルセイユの船乗りである青年ダンテスは、仕事もプライベートも大いに充実し、まさに幸せの絶頂にあった。しかし、彼への嫉妬や政略によって、無実の罪を着せられて、一度入ったら二度と出ることのできないシャトー・ディフに投獄される。愛する女性との結婚も、船長になるはずの未来もすべて閉ざされてしまい絶望の日々を送るダンテスだが、囚人の神父と出会い、その知識と教養、さらにモンテ・クリスト島にある莫大な財宝を受け継ぐ。14年後、奇跡的に脱獄を果たしたダンテスは、パリを主な舞台にして、自分を陥れた4人それぞれに対して、復讐を成し遂げていく。

内容は復讐物語であるが、血なまぐさい陰湿さは、この本にはない。不動の意志と信念を体して、計画どおり目的を果たす。ロマンに溢れ、詩情豊かな海の香り、エキゾチックな雰囲気も、ゆったりと全篇に流れている。軽妙な展開、そして時にはスーパーマンのように痛快な主人公の活躍は、思わず読者の血を沸きたたせずにはおかない。 ―完本若き日の読書P.166より

「なぜ、あのような方法で復讐をするのかというと、キリストの神に力がないので、人間が神に代わって裁くのだという思想が、この本の全体を貫いていると思う。
このようなデュマの考え方に、私は反対である。人間が神に代わって罰するという考えは間違っている。法罰でいかなければならない。法に力があるときには、人間が人間を罰する必要はないからである」 ―完本若き日の読書P.173より

してもらったことは、忘れず恩を返していく。逆にやられたことはやり返していく。
復讐の方法はよくよく考えなければならないが、自分はこの生き方に共感できる。
あと、「モンテ・クリスト伯」は復讐劇としてだけではなく、当時のフランスの歴史や風俗、オペラハウス、パリの社交界の風景など綿密に描かれているので、歴史小説としても楽しめる。

私たちは「モンテ・クリスト伯」を読むにあたり、この小説の背後につねに見え隠れするナポレオンの存在にも注意を払った。また、フランスにとっては未曾有の動乱期にあたる十九世紀初頭の歴史を、絶えず念頭におきつつ読んでいったのである。既成の権威が崩壊し、キリスト教の力も弱まりつつあった時代—人心の動揺する社会にデュマの「モンテ・クリスト伯」が喝采を博した背景も掘り下げられた。 ―完本若き日の読書P.175より

ナポレオンを深掘りしたい方には、ナポレオンの生涯とその人間像を描いた「ナポレオン」鶴見祐輔著、潮出版社をおススメします。
同時代を舞台にした「レ・ミゼラブル」ヴィクトル・ユゴー著(永山篤一訳)、角川文庫 。たった一切れのパンを盗んだ為に投獄されたジャン=バルジャンの波乱に満ちた生涯を描いた大河小説も、是非合わせて読むことをおススメします。
また、「モンテ・クリスト伯」が新聞で連載され、フランス国民から喝采を浴びた背景に興味のある方には、デュマの生涯を描いた佐藤賢一著「褐色の文豪」文春文庫(2012年刊)をおススメします。

【書籍情報】

著者   | アレクサンドル・デュマ(訳:山内義雄)
出版社  | 岩波書店
版型   | 文庫
ページ数 | 353ページ(1巻)、356ページ(2巻)、335ページ(3巻)、333ページ(4巻)、353ページ(5巻)、361ページ(6巻)、366ページ(7巻)

3, ベストセレクション③『三国志』

余りにも有名な歴史小説。小学生の頃、お年玉を貯めて横山光輝の漫画全60巻を揃えた。そして中学生でコーエーのゲームにハマった。大人になってからも、北方謙三版、宮城谷昌光版、陳舜臣版などの小説を貪るように読み、「蒼天航路」「覇-LORD-」などの漫画を楽しんだ。
作品の数だけ三国志の世界観・人物観がある。自分も様々な三国志を楽しんできたが、やはり王道は吉川英治版なのだろうと思う。
今回紹介する吉川三国志は、2008年「レッドクリフ」の公開にあわせて刊行された講談社の文庫全5巻。
舞台は中国、西暦184年前後から約百年にわたる物語。滑らかな文章、飽きさせない展開の速さ、多様な登場人物、豊富な語彙、どれをとっても超一級品。
前半は、若き日の曹操に触れつつ、劉備、関羽、張飛の義兄弟の活躍を中心に。
後半は、諸葛亮孔明が中心。超雲、馬超など若き日に最強といわれた武将たちが老いるとともに、気づけば国は人材難。支えるのは孔明ただ一人。星落秋風五丈原で涙。
三国志の時代の約400年前を描いた大人気漫画「キングダム」にハマっている方にもおすすめ。キングダムの登場人物の末裔が三国志に登場するかも?
また、「キングダム」以前から「項羽と劉邦」、「漢の武帝」まで描かれた中国古代歴史書「史記」が、一気に読める「いっきに読める史記」島崎晋著、PHP文庫(2023年4月刊)も合わせて読むことをおススメします。

【書籍情報】

著者   | 吉川英治
出版社  | 講談社
版型   | 文庫
ページ数 | 727ページ(1巻)、717ページ(2巻)、711ページ(3巻)、739ページ(4巻)、783ページ(5巻)

4, まとめ

今回ご紹介したベストセレクション3点は、どれも信濃町の博文堂書店で、100冊以上の販売実績があるベストセラーです。特に「モンテ・クリスト伯」は300冊を超える売れ行きです。
鍛えの夏。ともどもに良書に挑戦してまいりましょう!
「完本 若き日の読書」と合わせて読むと、より価値的に読書が深まると思います!

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